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ブログ

お口の中の吸血鬼⁈

春の訪れが待ち通しい、そして平和の大切さを思い知らされる今日この頃です。
こんにちは、衛生士の内山です。
今回はお口の細菌の中の悪玉菌、ジンジバリス菌の紹介です。
あまり聞きなれない名前ですが、歯周病菌として知られている菌の一つです。
この細菌、実は高齢者の命を密かに狙っているんです。
このブログで度々出てくる誤嚥性肺炎。この肺炎の重症化に大きく関わっているのです。
ジンジバリス菌には得意技があります。
①酵素を出し歯茎や歯を支える骨を破壊
②喉を守る粘液をこわしウイルスに感染しやすくする
③他の悪玉菌と組みネバネバ物質を作り、抗生物質を跳ね飛ばす
誤嚥は誰にでもおこることですが、特に高齢になり免疫力も落ちている人は細菌を押し返す気道粘膜の絨毛の活動が低下し、咳反射も弱くなっているため、誤って気道に流れ込んだ細菌入りの唾液を上手く排除できません。また口周りの筋力の衰えとともに飲み込みが上手く出来なくなって唾液や食べ物が気道に入ると大量の細菌が肺に入り込みます。そのうえ免疫細胞の働きも弱くなっているため、重篤な肺炎を引き起こしてしまいます。
ただでさえ危険な誤嚥性肺炎ですが、このようなジンジバリス菌等の悪玉菌がたくさん含まれていることで重篤化のリスクが上がってしまいます。おまけにこの菌、他のお口の悪玉菌と結びついてネバネバ物質をつくるので抗生物質がききにくいのです。
また、ジンジバリス菌等お口の細菌とインフルエンザや新型コロナウイルスが混合感染すると、更なる重症化を引き起こすことが分かっています。
ジンジバリス菌は歯周ポケットで増殖します。
ジンジバリス菌の餌はなんと血液です。そして酸素が苦手。まるで日光を嫌う吸血鬼のようです。お口の中が不潔で歯周ポケットから出血があればそれは恰好の住処になり増殖し、唾液に混ざってコッソリ肺へ流れ込み弱った人の命をねらいます。
1000種類以上いる口腔内細菌、きれいに歯磨きしている人でも100億個、不潔な人だとなんと1兆個もの細菌が口腔内に棲んでいます。お口の中をキレイに保つことは、歯や歯茎を守るためだけではなく命をまもることにもつながります。日頃から丁寧な歯磨きを心がけましょう。
最も歯周ポケットが深いと自力での清掃は難しくなりるので歯科医院でのプロのお掃除が必要となります。自分の歯周ポケットは大丈夫か、久しく歯医者にいっていない人は一度検診にいってみてはいかがでしょうか?
お口の清潔は健康の第一歩です!